紀州オルグ

地域の宝を擬人化して一人称で語るストーリー「平安の郷、枝垂桜の物語」@ 田辺市中辺路町ちかつゆ


この作品を作る構成として一番重視したことは、誰の目線から地域の魅力を語るべきか?
熊野古道 中辺路が街中を抜けていく歴史あるこのまちですが、移住してはじめて訪れた時の印象は古道の歴史文化よりも美しい里山風景に惹かれました。また同時にそこの暮らす人々の笑顔や暮らし方が日本の原風景だったのです。
平安の郷の中心となる「かめや」は画家野長瀬挽歌さんの旧家をリノベーションして再生。
そこには、当時から生きている枝垂桜がありました。
言葉は語れませんが、この桜こそずっと見続けてきたのだと。

 

◎ ストーリーの組み立て方のコツ
主人公を枝垂桜に!

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ノーマルな紹介原稿によるナレーターが淡々と紹介しても、心あたたまるメッセージが伝わりません。この事例では200年以上、この美しい里山”ちかつゆ”で生きてきたこの枝垂桜が語ることで、古道を歩く旅人と歴史の深さ、それを支える地域の優しさ、暮らしの美しさを表現することにしました。

地域の宝を紹介することは、様々な表現方法がありますが、

⑴ 宝を見つける視点
⑵ その宝と地域を繋げるストーリーを描くこと
⑶ ストーリーの中に、小さな感動や共感を描く登場人物を決めること

この作品では、挽歌さんと繋がりある枝垂桜を主人公に、擬人化した物語を描き、そこに実際暮らし、共に生きてきたおばあちゃんなど主人公と語りあうシーンで纏めています。
地域には草木への想いや優しさこそが本当の愛であり、情けだと定義しました。

 

◎ 声が与えるインパクト

ちかつゆ

ナレーターの選択が重要となります。女性、男性の選択はもちろん声色やイントネーション、テンポ感などの演出が大切です。
ここは、枝垂桜の声をあえて渋めの男性を起用し、間を置くテンポ感で語っていくことにしました。
地域映像こそ、ゆったり丁寧に紹介したいものです。
ストーリーと合わせて、効果音(ここでは蛙の声など)を交えながらナレーターに違和感なく演出することに配慮すれば、何度も視聴しても飽きさせない狙いもあります。

 

◎ 地元の方々自身が誇りに感じる表現テクニック

私自身がよそ者だけに、完成する地域プロモーションの映像は地元の方々が新鮮な発見と気づき、共感を生み出す映像の見せ方が重要となります。
客観的な表現や伝達方式も大切ですが、この地域のように暮らしから魅力を伝える映像には、地元の方々自身の共感と誇りの醸成できる仕掛けやカットも大切になるのです。
親しんできた地元のシンボル、それが枝垂桜なのです。

まずは、このような観点を捉えて映像をご覧下さい。
自らの地域資源の発掘とその魅力を伝える物語創造のために上記の視点で考えてみるにも良いでしょう。
※ 木暮人映画祭入選作品

 

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